中学高校の授業に役立つ科学ネタ~最新ニュースの話題から授業の小話まで~
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数年前までどこのマスコミでも特集が組まれるほど話題となった狂牛病(牛海綿状脳症;BSE)は,今ではそれほど毎日報告されることがなくなりました。
私も当時特別授業のようにして取り上げた覚えがありますが,原因は何であったのか?治療法はあったのか?みなさんは覚えてみえるでしょうか?
これまで治療法が無かったBSEの治療薬開発に大きく前進するニュースが発表されました!
私も当時特別授業のようにして取り上げた覚えがありますが,原因は何であったのか?治療法はあったのか?みなさんは覚えてみえるでしょうか?
これまで治療法が無かったBSEの治療薬開発に大きく前進するニュースが発表されました!
プリオン(プリオン蛋白質),クロイツフェルト・ヤコブ病などの言葉を知っている方はなかなかのBSE通です。更に変異型クロイツフェルト・ヤコブ病,スクレイピー,クールーなどといった言葉までご存知なら,相当BSEについて詳しい方だと思います。
BSEまたはそれによる人間への影響の原因は異常プリオン蛋白質であると指摘されています。プリオンとは感染性のある蛋白質粒子であると考えてもらえばけっこうです。しかしまだ仮説に過ぎない部分もあり,原因やメカニズムが特定しきれたとは言い切れないので注意してください。
さてBSEの原因はこの異常プリオン蛋白質であるとされていますが,人間にも同じように異常プリオン蛋白質が原因で起こるとされている病気があります。それがクロイツフェルト・ヤコブ病です。この病気はBSEとよく似たところがあり,痴呆症状や痙攣などを起こして死に至る病気で治療法が見つかっていない難病です。ちなみにクロイツフェルトさんとヤコブさんが報告したから名前がついたそうです。
このクロイツフェルト・ヤコブ病の発生確率は100万人に1人と言われていますが,これと同じような脳障害の発生確率が異常に高い地域がありました。それは,ニューギニアで食人の習慣があったフォア族です(普段から食用に人を食べている方々ではありません。儀式などの習慣のみですので誤解のないようにしてください)。この病気はクールーと名付けられましたが,後にクロイツフェルト・ヤコブ病と同じプリオン病であることがわかりました。
一方動物においても18世紀くらいから羊の脳を冒す感染症が確認されていました。羊が狂ったような動きをするこの病気はスクレイピーと名付けられました。これも現代ではプリオン病の1つだと考えられています。
クロイツフェルト・ヤコブ病は,孤発的に発生するのですが,その中でも感染性のものとして変異型クロイツフェルト・ヤコブ病というものが1996年にイギリスで確認されています。実際にはこの変異型クロイツフェルト・ヤコブ病とBSEとの関連性が指摘されています。異常プリオン蛋白質を多量摂取し,人体に蓄積された結果発病するというものです。
ちなみにここからはあるマスコミによる仮説なのですが,そもそもどうしてこのような病気が始まったかというと,その原因は共食いにあるとのことらしいです。現在はほとんど使われなくなったようですが牛のえさに肉骨粉が使われていたことは有名です。牛肉を食した後の肉や骨を砕いて牛のえさにしていたのです。アメリカでは早々とこの肉骨粉の使用を中止しましたが,オーストラリアではこれまで肉骨粉を一切使ったことがなかったためオーストラリアでは狂牛病が発生しなかったのです(現在もまだ発生していないのかは未確認ですが)。それ故オーストラリア産の牛肉が安全と言われるようになったのです。ニューギニアの例も共食いによるものですし,プリオン病と共食いは全く関係がないとは言えなそうです。
さて,このようなBSEに代表されるプリオン病はこれまで治療方法がなかったのですが,このたび治療薬の開発に大きく前進するニュースが発表されたので紹介します。
今回は長文をお読みいただきありがとうございました。それぞれについて詳しい情報は書き切れませんでしたので,詳しく知りたい方は病名などを検索してみてください。
記事へのリンクについては毎日新聞社さんの承諾を得ています。
また,リンク先の記事の著作権は,毎日新聞社さんにありますので,無断で転載などなさらぬように気をつけてください。
BSEまたはそれによる人間への影響の原因は異常プリオン蛋白質であると指摘されています。プリオンとは感染性のある蛋白質粒子であると考えてもらえばけっこうです。しかしまだ仮説に過ぎない部分もあり,原因やメカニズムが特定しきれたとは言い切れないので注意してください。
さてBSEの原因はこの異常プリオン蛋白質であるとされていますが,人間にも同じように異常プリオン蛋白質が原因で起こるとされている病気があります。それがクロイツフェルト・ヤコブ病です。この病気はBSEとよく似たところがあり,痴呆症状や痙攣などを起こして死に至る病気で治療法が見つかっていない難病です。ちなみにクロイツフェルトさんとヤコブさんが報告したから名前がついたそうです。
このクロイツフェルト・ヤコブ病の発生確率は100万人に1人と言われていますが,これと同じような脳障害の発生確率が異常に高い地域がありました。それは,ニューギニアで食人の習慣があったフォア族です(普段から食用に人を食べている方々ではありません。儀式などの習慣のみですので誤解のないようにしてください)。この病気はクールーと名付けられましたが,後にクロイツフェルト・ヤコブ病と同じプリオン病であることがわかりました。
一方動物においても18世紀くらいから羊の脳を冒す感染症が確認されていました。羊が狂ったような動きをするこの病気はスクレイピーと名付けられました。これも現代ではプリオン病の1つだと考えられています。
クロイツフェルト・ヤコブ病は,孤発的に発生するのですが,その中でも感染性のものとして変異型クロイツフェルト・ヤコブ病というものが1996年にイギリスで確認されています。実際にはこの変異型クロイツフェルト・ヤコブ病とBSEとの関連性が指摘されています。異常プリオン蛋白質を多量摂取し,人体に蓄積された結果発病するというものです。
ちなみにここからはあるマスコミによる仮説なのですが,そもそもどうしてこのような病気が始まったかというと,その原因は共食いにあるとのことらしいです。現在はほとんど使われなくなったようですが牛のえさに肉骨粉が使われていたことは有名です。牛肉を食した後の肉や骨を砕いて牛のえさにしていたのです。アメリカでは早々とこの肉骨粉の使用を中止しましたが,オーストラリアではこれまで肉骨粉を一切使ったことがなかったためオーストラリアでは狂牛病が発生しなかったのです(現在もまだ発生していないのかは未確認ですが)。それ故オーストラリア産の牛肉が安全と言われるようになったのです。ニューギニアの例も共食いによるものですし,プリオン病と共食いは全く関係がないとは言えなそうです。
さて,このようなBSEに代表されるプリオン病はこれまで治療方法がなかったのですが,このたび治療薬の開発に大きく前進するニュースが発表されたので紹介します。
プリオン:変化防ぐ物質、岐阜大など生成成功
2007年7月3日 毎日新聞社
今回は長文をお読みいただきありがとうございました。それぞれについて詳しい情報は書き切れませんでしたので,詳しく知りたい方は病名などを検索してみてください。
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プロフィール
HN:
理科男(りかお)
性別:
男性
職業:
理科教育アドバイザー
自己紹介:
元中学高校の理科教師。現在は理科教育のアドバイザーをしている。
このブログの更新は不定期です。授業で取り上げられそうなニュースが出たときなどを中心に週2~3回程度の更新になります。
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