アポトーシスって何？

　細胞が自滅する現象，それをアポトーシスといいます。
　細胞が最期を迎えるのは損傷を受けたときだけではなく，自ら選んで自滅する現象があるのです。

　アポトーシスはよく細胞の自殺だと比喩される場合もあります。
　アポトーシスは細胞が収縮していき，核の中に存在するＤＮＡも規則正しく切断され，やがて細胞自身もバラバラに分断されます。
　なぜこのような現象が起こるのでしょうか？
　ひとつはプログラム細胞死と呼ばれており，例えば発生の過程で指ができるとき，初めは手の部分が固まりであったものが，指の間の部分の細胞が自滅することで形が作られたり，オタマジャクシがカエルなるなど変態の過程でもアポトーシスは行われているのです。
　そのほか，発生の過程に限らず，異常をきたした細胞は多少の異常であれば修復できるのですが，修復不能であった場合，アポトーシスにより除去するためであるとも言われています。
　これらアポトーシスは，ガンとの関連性も指摘されています。つまりすべての細胞はいずれ消滅するようなプログラムを持っているのに対し，ガン細胞は無限に増殖する。つまりこれはアポトーシスのシステムに異常があるのではないかという説です。

　アポトーシスという現象は確認されているものの，その仕組みについてはまだまだ解明されていない部分もたくさんあります。ちなみにアポトーシスに対して細胞が損傷を受けて死ぬことをネクローシスといいます。