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中学高校の授業に役立つ科学ネタ~最新ニュースの話題から授業の小話まで~
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 理科を教えている人は,当たり前のように考えがちですが,生徒にとっては星からの距離のはかり方というのは謎のようです。
 何せ宇宙には物差し・目盛りといったものがないからです
 ある教科書には地球の大きさのはかり方(古代ギリシアで測った例)がコラムとして載っていますが,これを読んで星からの距離の測定方法に気づいたらたいしたものです。

 星からの距離のはかり方は幾通りもありますが,やはり代表的なのは年周視差を利用した測定方法でしょう。原理としては地球の公転を利用した巨大な三角測量といったところです。具体的には,ある日にある星を測定した時の角度と半年後に同じ星を測定したときの角度から距離を割り出すと考えてください。
 この方法は初めは100光年くらいまでの距離しか測れなかったのですが,科学の進歩により500光年,1000光年と測定が可能になり,最近では5000光年以上の距離にある星まで観測できるようになっていました。
 ここで,1光年とは光が1年間に進む距離です。光は1秒間に約299,792km(真空中)進みますから,×60秒×60分×24時間×365日と計算してみると距離が出ます。1光年は約9兆4607億kmです。太陽から最も近い恒星であるケンタウルス座のα星は約4.3光年の距離にあるので光の速さで行っても4.3年かかると解釈してもらえば結構です。
 さて,地球の公転を利用した壮大な三角測量ですが,科学者が測ろうとしている星の距離は1万光年という途方もない距離です。この測定方法の問題点は大気のゆらぎなどもあるのですが,一番の問題点はやはり微少な角度の測定技術でしょう。先ほど述べた太陽から最も近い恒星であるケンタウルス座のα星でさえ年周視差は0.75秒角と言われています。1度の1/60が1分角,さらに1/60が1秒角です。つまり1秒角とは1度の1/3600の角度ということになります。1万光年先の星を測定しようとした場合,相当精密な角度の測定が必要になることがおわかりいただけると思います。
 星からの距離の測定方法は,年周視差を利用した方法の他,遠くの距離の星は明るさが落ちることを利用した測定方法などもあります。

 さて,日本の測定技術というのは大したもので,1万光年先の星の距離が測定できたというニュースを見つけました。
 難しい話は除いても,星までの距離を測る方法について,どこかで話してあげると生徒は興味を示すと思います。

銀河系地図作りへ一歩 まず1万7250光年

2007年7月13日 朝日新聞社


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性別:
男性
職業:
理科教育アドバイザー
自己紹介:
元中学高校の理科教師。現在は理科教育のアドバイザーをしている。

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